南相馬に移住の決断をするその前に

南相馬に移住の決断をするその前に

 名古屋愛(なごや めぐみ)さんは東京育ち、東京在住の大学2年生。文学部で勉強する一方、俳優として演劇活動をされています。2018年10月にフルハウス・LAMAMA ODAKAで公演された「町の形見」をきっかけに、小高でも活動をするようになりました。

LAMAMA ODAKAの劇場の様子

 名古屋さんは小学生のころ、自ら演劇部をつくってしまうほどの演劇好き。
名古屋さん「東京の劇団で出演の募集がかかり、手を挙げました。公演の場所が偶然、南相馬の小高で。それまでは南相馬や小高に訪れたいと思ったことは正直なかったです。」


 そんな名古屋さんでしたが、演劇を通して小高に暮らす人々と関わったり、日常の景色を見る中で、少しずつ小高を好きになっていったそう。将来的に、小高で活動していきたいという新しい希望が芽生えました。

小高駅はsuicaが使えないので切符購入は必須

南相馬での暮らしってどんな感じなんだろう 

デジタルカメラで風景を切り取る名古屋さん

 南相馬・小高で働きながら暮らすとは、どんな毎日になるのだろうと不安だった名古屋さんは、試しハウスに長期滞在することで南相馬での暮らしを体験しようと、今回の利用につながりました。

 「これまで、演劇公演の期間に滞在することはありましたが、ホテルへの宿泊であったり、外食であったり・・・あくまで遠征というスタイルでした。毎日、出演者さんと一緒にいて、日常の生活というよりは、非日常。でも、暮らすというのはもっと長い期間、イベントのない日々が続いていくことなので、それってどういうことかなと。」

 想像するだけで済ますのと実際に体験するのとでは、自分の中での納得感が違いますもんね。滞在期間1カ月を予定されていましたが、その間はどのように過ごしましたか?

小高小学校での学習支援活動に参加
塚原アートプロジェクトの作品と解説集

 「 なるべく、実際に暮らした時と同じようにやってみようと思い、一緒に働きたいと言ってくれている方とミーティングをしたり、その時々でやっている地域イベントに参加したりしていました。ちょうど学生が子どもたちと遊ぶ学習支援の活動をしていたので混ぜてもらったり、塚原でやっていたアートプロジェクトを見に行ったり。隙間時間には、小高のことが知りたくてたくさん歩いて、スーパーやコンビニの場所を確認などもしましたね。免許を持っていないので、移動手段のほとんどは徒歩で。自転車も使えたのですが、歩くことで距離を体感することができましたよ。すれ違う人とは挨拶を交わすことが多かったように思います。心地よかったです。行き当たりばったりの散歩では、偶然の発見や出会いもあり、面白かったなあ。」

一人ではいけない場所は体験プログラムで連れて行ってもらう

 オムスビの体験プログラム:まち体験にも参加してくださいましたよね。

 「一人では行けないところに行けたのが良かったですね。相馬の方まで車で案内をしてもらったり、市役所の方を紹介していただいて、南相馬の歴史を聞くこともできました。相馬で食べた海鮮丼、とても美味しかったです。歴史に詳しい市役所の方に話を聞くこともできて、まだまだ知らないこともたくさんあるなと感じました。」

松川浦にある「斎春」にて海鮮丼を食べる

移住の決断には、少し時間がかかりそうだけど

小高小学校の人工芝

 「今後、今すぐに南相馬に移住して実際に働くことにするかは考えている途中です。大学での勉強は、興味深いし、学びたいと思うことがまだたくさんあります。小高で活動するようになって、より一層勉強が面白くなっているので、今学校を離れるのはなあ、というのが正直な気持ちです。それでも、学業と両立しながら小高に足を運び続けたいし、いずれは俳優業と仕事を両立させながら小高で暮らしていきたいなあという気持ちも、もちろんあります。
 俳優の仕事一本で生活することは難しい、というのは俳優業界の課題でもあります。でも、好きな場所に暮らしながら、俳優を続けられる仕組みを追求していきたい。小高ではそれができる気がするし、私はそうしていきたいなと思っています。」

 名古屋さん、ありがとうございました。また、南相馬に来た時はいろんなところに足を運んでみてくださいね。移住の相談もお待ちしています。