南相馬とスタジオジブリから学ぶ環境のこと

南相馬とスタジオジブリから学ぶ環境のこと

shihomakita shihomakita 2019年6月20日 活動事例

 フロリダ州出身のリセットは現在コーネル大学大学院で科学技術社会論を学んでいます。約2週間お試しハウスに滞在しました。彼女の滞在目的は、原子力発電所の事故やそれに伴う原子力問題について研究するためです。

コーネル大学キャンパス

 リセット「東日本大震災が起きた日、私は日本にいました。関西外国語大学本語を勉強するために留学をしていたからです。正直、震災以前は原子力問題に関しては全く興味の範囲外でしたが、環境問題のひとつとして勉強するようになりました」

 彼女は突然、核問題に興味をもったわけではありません。留学前、アメリカの大学に在学していた彼女は環境学を専攻しており、そのきっかけはスタジオジブリの映画だとか。

 「4歳か5歳のころ、『となりのトトロ』を初めて見ました。母に聞いたところ、毎日見るほどに夢中だったみたいです。すっかり忘れていたのですが、15歳のある日、偶然ショップでトトロの映像が流れているのを見かけたんです。そのタイミングで、トトロには環境問題に対する問いかけがメッセージとして込められていることを知り、アニメの内容以上に興味をもちました。スタジオジブリ作品では『風の谷のナウシカ』や『もののけ姫』も同じように、環境問題がテーマになっていますよね。それって何故なんだろう?と不思議に思って。今まで英語の吹き替え版を見ていたのですが、細かい日本語のニュアンスや背景にある日本文化も知りたいと思い、留学して日本語や文学を学び始めました。」

コーネル大学で線量をはかるリセット

そして、留学中に東日本大震災が起きたんですね。

「そうです。震災をきっかけに、日本が戦争時の被爆国であることも知りました。『鉄腕アトム』や『ゴジラ』などのアニメーションが、原子力をテーマにしていることも興味深いです。」

 今回の南相馬滞在期間はどのように過ごしましたか。

 「小高や原町、浪江に住んでいる方、全員で15名にインタビューをしました。事前にアポイントを取ったり、でかけた先で話を聞かせてもらったり。内容は原発や原子力に関する問題だけでなく、普段の暮らしや生活のこと、いろんな話をしました。中でも、島魚(小高のごはん屋さん)の大将の話はとても勉強になりました。彼は原子力問題だけでなく、温暖化やプラスチック問題など、ものすごく環境について考えていて、知識量が半端なかったです。アポなしでしたが3時間ほど話し込んでしまいました。」

小高の風景とセルフィー

 「他には、料理をしたり、ランニングをしたり、お試しハウスでの一人暮らしを楽しんでいました。最近は仲間とルームシェアをして過ごしていたので、一人きりになれる環境が最高でした!レンタカーを利用していたので、原町や小高ストアへの買い物も不便なく、快適に過ごせましたよ。緑があって、静かで、穏やかにみなさん過ごしていて。小高はまだ、トトロがいるような町な気がする、と感じました。」

 リセットは7月から1年間、さらに深く研究をするために横浜のアメリカ・カナダ大学連合日本研究センターで日本語を学ぶそうです。

 「冬の休暇を利用して、また南相馬に来たいと思っているその時はまちのプロジェクトや活動にもっと参加をしてみたいです。いずれは大学の教授になって、学生や世界中の人々と環境問題について議論していきたい。とても難しく、複雑なことだからこそ、いろんな人と話し続けることが大切で、それはとても面白いなと思っています。」

 リセット、ありがとうございました。
 また南相馬に来る日を楽しみにしています!