思った以上に小高は普通の町でした

思った以上に小高は普通の町でした

 栃木県に在住の小山内孝成さんは、福島県か宮城県への移住を検討中の男性。メお試しハウスの存在を知り、南相馬へ2泊3日の移住体験に来てくださいました。

小山内さん(右)にオムスビでインタビュー

 

 小山内さんは普段、百貨店内にあるスーツの専門店で接客業をされています。しかし、東日本大震災以降、被災地の様子がずっと気になっていたそうです。
テレビの報道番組を見て、「私も何かしなければいけない、そのために早くいかなければ」となんとなく焦りがあったとか。私情も重なり、被災をした土地で暮らしてみたいという気持ちも。

 

 そんな折に、小高にある書店・フルハウスを営業する柳美里さんの存在や想いを通して、南相馬への興味が湧いたといいます。

思っていたより、ずっと普通の町でした

小高駅にて

 小山内さんは東京から新幹線や電車を乗り継いで、南相馬へ。お試しハウスのある小高に到着して駅を降りたときに、普通の町だなと感じたといいます。

 小山内さん「人口の帰還率約30%ってどんなのだ?という不安感がありましたが、人通りがあり、車も走っていて、食料品も日用品も買えるスーパーもある。メディアを通して植え付けられてしまった暮らすのがいっぱいいっぱいなのでは・・・というイメージが覆されました。想像と全然違っていました。今日の晩御飯、何にしようとか考えられるような、本当に普通の暮らしがありました。」

 さて、小山内さんはどのような2泊3日を過ごされたのでしょうか。

  • 【小山内さんのスケジュール】
  • ・1日目:小高散策、島魚で夜ご飯
  • ・2日目:原町へでかける。南相馬市博物館の見学と町あるき
  • ・3日目:オムスビにてインタビュー

早く移住をしなければ、という焦りがなくなりました

島魚のお刺身定食

 

 1日目のお昼ごろ、小高に到着した小山内さんは小高のまちをふらふらと気ままに散策したようです。夜ご飯は島魚さんで定食を。先日、南相馬に来てくれたリセットもそうでしたが、小山内さんもまた、大将とお話しをして心を動かされたようです。

 

 「実際に南相馬(被災地)に来るまでは、人が本当にいなかったり、寂しい感じを想定してしまっていて・・・自分にできることをするためにも、早く移住しなければという焦りが心の隅にありました。でも大将が、『現地(南相馬・小高)に住んでいる人たちは自分たち自身でしっかりと毎日を暮らしている、だから大丈夫だ』と話してくれたんです。それを聞いて、そうか、と腑に落ちた感じがして。焦って早く移住する必要なんてないんだなあ、と思いました。」

自販機も見当たらないくらい続く田んぼ道・・・大冒険な1日!

 

 2日目は、南相馬の歴史を知るために、隣の原町にある南相馬市博物館へ向かった小山内さん。しかし、携帯の充電を切らしてしまい、駅員さんや交番、道行く人に尋ねながらたどり着いたそうです。

 

 「実は、博物館には5分程度しかいられませんでした・・・(笑)道を聞くも、方向を間違えてしまって時間がかかったり、帰りの電車を考えるとほとんど見ることができなかったです。博物館の方に、相馬野馬追の会場・雲雀ヶ原祭場地だけ教えてもらい、見に行きました。馬が駆け下りる様子を想像したり、実際に歩いてみたりして、歴史を感じました。」

 

 「でも、その後が少し大変だったんです・・・!駅に向かう途中、田んぼ道に迷ってしまって。すごく暑い日だったので、とりあえず自動販売機で冷たいものを買おうと思ったのですが、なかなかなくて(笑)夕方の田んぼ作業をされている方に道を聞きながら、クタクタになりながら帰宅しました。全部で20km以上歩いたと思います。」

 クタクタになった小山内さんでしがたが、この日はお試しハウスで自分でお料理をして夕食をとったそうです。お試しハウスはキッチンや調理器具も完備しているので、食材さえあればしっかりお料理することもできます。

生姜焼きとご近所で買ってきたお刺身。ビールが合いそうですね・・・!

 「普段はほとんどしないので新鮮でしたね。ただ、お試しハウスはとても広いので1人でいるのは少し怖かったです・・・なので、次回は妻と一緒に来たいと思います。」

 

 小山内さんは今回の滞在を通して、マイペースに移住を考えていこうと思ったとお話ししてくださいました。移住は、自分自身が幸せになるための選択のひとつにすぎません。旅行などの短期イベントとは異なり、暮らしをイメージできるかどうか、長期的に安心して、そして楽しく過ごせるかどうかなど、慎重に考える必要もでてきます。私も小山内さんと同じように悩んだことがあったので、今回のインタビューは共感する部分が多々ありました。

 

 次は奥さまと一緒に、お試し移住しに来てくださいね。
 お待ちしています。

【2020.1.30追記】

小山内さん、また来てくれました。
来年度から、南相馬への移住決断されたそうです。
家探しと就活のため、お試しハウスを利用してくださいました!

夏以来、福島の他の地域や宮城など、移住候補地を3か所ほど回ったそうです。
その中でも、小高が、特に駅を降りた時にみた景色や出会った人との会話などが印象に残り
南相馬を選んでくださいました。

「小高や南相馬で、自分自身を見つめながら生きたいなと思いました。
誰かのためではなく、自分のために。夏にきたときに、小高の方が『何かをするために来なくていい』と言ってくれたことは大きいなと思います。」

また、偶然にも、古くからの知り合いが南相馬にいたことも移住決断の大きな要因だそう。
移住後に、自分の居場所としてコミュニティがあるということで、行ってみようという気持ちは後押しされるでしょう。

まずは単身で、その後半年ごろに奥様も移住してきたくださる予定です。
今から小山内さんが来てくれるのがとても楽しみです!

☆お試しハウスは、南相馬への移住や活動で訪れる方を対象に、市が提供している2階建ての家です。お申込みはこちらから